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古代国家の収支体系を示す正税帳。そこにみえる断片的語句から、その背後にある天平期歴史の種々相を抉り出す。
現存する正倉院文書中の天平期正税帳を中心に、当時の地方政治、中央政府と地方国衙との関係、大化前代の当該国の社会状態、平安期の地方政策等、重要な諸問題に政治史的分析を試み、律令時代における地方政治の実情を総合的に把握した労作。

【目次】
第１章　大倭国正税帳をめぐる諸問題
第２章　紀伊国正税帳をめぐる諸問題
第３章　薩摩国正税帳をめぐる諸問題
第４章　長門国正税帳をめぐる諸問題
第５章　豊後国正税帳をめぐる諸問題
第６章　筑後国正税帳をめぐる諸問題
第７章　周防国正税帳をめぐる諸問題
第８章　駿河国正税帳をめぐる諸問題
第９章　伊豆国正税帳をめぐる諸問題
附　論　古代の隠岐
　　　　　古代製塩の生産形態
　　　　　大化前代の肥後

【著者紹介】（発行当時のものです）
井上辰雄（いのうえ・たつお）
1928年東京都生まれ。
東京大学文学部国史科卒業。
東京大学大学院（旧制）満期修了。文学博士。
筑波大学名誉教授。
著書に『嵯峨天皇と文人官僚』『平安初期の文人官僚』『平安儒者の家　大江家のひとびと』など。