幕府
譜代大名
御三家
幕政を担う内部より
崩壊は始まった。

「江戸幕府はなぜ崩壊したか」。この命題に関する戦後の主な研究は、
幕府を倒す側からみた「西南雄藩討幕派史観」にもとづく、
一藩絶対主義の立場からの幕府崩壊論であるといってよい。
本書は、幕府と幕政を担う譜代大名および御三家との相関分析を通じて
幕府崩壊の要因・諸過程を総合的に解明する。
また維新政権の対藩政策の分析を通じて、
維新政権の性格を逆照射し、同時に明治維新の本質を究明する。

【目次】
はしがき　分析視角
第一章　幕藩体制のシステム
　１　幕藩体制の特質
　２　外様と徳川一門(親藩)・譜代
　３　幕府の政治構造と老中政治
　４　幕政改革と幕府権力の衰退
第二章　御三家と譜代藩の存在形態
　１　御三家の存在形態と付家老制
　２　譜代藩の所領構造
　３　藩領・天領・旗本領形成のメカニズム
第三章　御三家・譜代藩の藩政改革
　１　幕政改革と御三家の対応
　２　譜代藩の藩政改革と幕閣藩の地域移動
第四章　幕末の政局と明治維新
　１　幕末の政治情勢と西南雄藩の登場
　２　幕府権力の二極化と御三家
　３　幕府の崩壊と維新政権の成立
第五章　維新政権と諸藩の政治動向、領国体制の特質・解体
　１　戊辰戦争と徳川一門・譜代諸藩の政治動向
　２　維新政権下の領国体制
　３　維新政権の権力構造と天皇絶対主義国家の成立

あとがき
【著者紹介】（発行当時のものです）
藤野保（ふじの・たもつ）
1927年長崎県生まれ。
東京教育大学大学院博士課程修了。博士（文学）。
九州大学教授・中央大学教授を歴任。
専攻は、日本近世史。
著書に『日本封建制と幕藩体制』など。