南北朝内乱から室町殿（足利家家長）権力の確立にいたる政治過程と宗教政策の関係および室町期の政治構造を規定した室町殿権力における宗教政策の機能について考察する。

【目次】
序章　室町幕府宗教政策論
　　第一節　中世宗教史研究の射程
　　第二節　室町幕府の宗教政策をみる視点
第一部　室町幕府の祈禱と門跡
　第一章　大覚寺門跡と室町幕府
　　第一節　内乱期の大覚寺と大覚寺統
　　第二節　大覚寺門主と後宇多院法流
　　第三節　室町期の大覚寺門跡
　第二章　足利義満の宗教空間―北山第祈禱の再検討―
　　第一節　北山第祈禱の構造
　　第二節　北山第祈禱の歴史的位置
　第三章　足利義持政権と祈禱
　　第一節　義持初政をめぐって
　　第二節　義持期の公武関係と祈禱政策
　第四章　室町殿の宗教構想と武家祈禱　
　　第一節　顕密仏教界の変動と武家祈禱
　　第二節　武家祈禱体制の転換と三宝院
　　第三節　室町殿の祈禱編成
第二部　室町殿権力の構造と宗教
　第一章　室町幕府の追善仏事に関する一考察―武家八講の史的展開―
　　第一節　武家追善仏事の基本構成
　　第二節　武家八講の成立と展開
　　第三節　「公武儀礼」としての武家八講
　第二章　足利義持の神祇信仰と守護・地域寺社
　　第一節　有力大名と分国寺社の興隆
　　第二節　義持文化圏
　第三章　摂津国勝尾寺と足利義持政権
　　第一節　高山庄をめぐる勝尾寺・浄土寺相論と義持初政
　　第二節　勝尾寺の将軍家祈願寺化と後期義持政権
　終章　室町殿と宗教
　　第一節　内乱の展開と顕密体制
　　第二節　室町殿権力の宗教編成
　　第三節　相国寺仏事の意義
　　第四節　室町期国家と地域寺社

【著者紹介】（発行当時のものです）
大田壮一郎（おおた・そういちろう）
1976年広島県生まれ。
立命館大学文学部史学科卒業。
大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。
博士（文学）。
奈良大学文学部専任講師。