オリンピック参加から百年。
近代国家とスポーツの忘れられた歴史にせまる。

帝国内の明治神宮大会と、帝国外の極東大会の系譜をたどり、
帝国内外のスポーツを結集して大東亜会議に連動して催された、
第14回明治神宮国民錬成大会の実態を明らかにし、
近代国家に翻弄されたスポーツの歴史をふりかえる。

【目次】
Ⅰ極東選手権競技大会の系譜
　１　極東選手権競技大会の歴史
　　＊「極東オリンピック」の創設
　　＊満洲国参加問題
　　他
　２　東洋選手権競技大会と日満華交驩競技大会
　　＊幻の東洋大会
　　＊東京オリンピック返上の余波
　　＊文化工作としてのスポーツ
　　他
　３　第一回東亜競技大会（東京）
　　＊選手の「国籍」
　　＊「民族の祭典」と東亜民族の祭典
　　他
　４　第二回東亜競技大会（新京）
　　＊西洋スポーツ界との決別
　　＊フィリピンの東亜大会中止
　　他　
Ⅱ　明治神宮大会の系譜
　１　草創期の明治神宮大会
　　＊天皇・国家・軍隊
　　＊「国民の祭典」への模索
　　他
　２　戦時下の明治神宮大会
　　＊第一〇回明治神宮国民体育大会（一九三九年）
　　＊第一四回明治神宮国民錬成大会（一九四三年）
　　他
　３　帝国日本と明治神宮大会
　　＊植民地の参加
　　＊日本軍占領地の参加
　　他
Ⅲ　大東亜会議と明治神宮大会
　１　スポーツの弾圧
　　＊学徒スポーツの終焉
　　＊明治神宮大会の構想
　２　帝国内外の一九四三年
　　＊朝鮮
　　＊満洲国・関東州
　　他
　３　フィリピン占領と南方特別留学生
　　＊占領下フィリピンのスポーツ
　　＊伝統スポーツの復権
　４　第一四回明治神宮国民錬成大会
　　＊大東亜共栄圏の虚構
　　＊大東亜体育協会
　　他

【著者紹介】（発行当時のものです）
高嶋航（たかしま・こう）
1970年大阪府生まれ。
京都大学文学研究科東洋史学専攻東洋史学博士後期課程中退。
博士（文学）。
京都大学大学院文学研究科准教授。