神話素材を顧みない学界に、素材論と作品論の有機的結合の可能性を神話の変質課程の考察から導き、神話が日本古代文学に結んでゆく軌跡と、そこに占める女性の位置を究明。古代文学と女性の関わりの本格的研究の嚆矢。

【目次】
第Ⅰ編　『古事記』-〈神話〉とその背景
　第１章　『古事記』冒頭の「成神名」の古訓
　第２章　大八嶋国生み神話の〈景行朝志向〉
　第３章　景行記
　第４章　六嶋生み神話の形成と遣唐使
　第５章　神を迎える神
　第６章　浦島子伝承の成立と海宮遊行神話
　第７章　阿曇連
　第８章　海宮遊行神話諸伝考
第Ⅱ編　『古事記』-女性像と天皇像
　第１章　沙本毘売命物語
　第２章　沙本毘売命・本牟智和気御子物語の方法
　第３章　女鳥王
　第４章　女鳥王物語と春日氏后妃伝承の定着
　第５章　女鳥王物語の歌謡
　第６章　拒む女性
　第７章　『古事記』の構想と天皇像
　第８章　『古事記』の雄略天皇像
第Ⅲ編　『万葉集』-歌と歌人
　第１章　初期万葉の挽歌
　第２章　天智天皇崩時「婦人作歌」考
　第３章　天武皇子の序列について
　第４章　『方丈記』冒頭考
付編　近世の〈日本神話〉の研究

【著者紹介】（発行当時のものです）
荻原千鶴（おぎわら・ちづる）
1951年長野県生まれ。
お茶の水女子大学文教育学部卒業。
お茶の水女子大学大学院博士課程単位取得退学。
お茶の水女子大学助教授。