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本書一・二は、天皇中心の政治体制をもっともよく反映する皇族系譜の具体的様態を、皇族出身皇妃の記述の矛盾や不自然な叙述をめぐって浮き彫りにし、かつ、そこに内包する古事記神話構成の経緯を示す“天”の用語を手掛りに、別天神系譜より神生み神話にみられる記の諸伝承結集統合の具体相およびその理念を追求、古事記全体における再編成の論理を明らかにする。
前著一・二が古事記・日本書紀の記す天皇系譜・神話に主として成立論の視点から詳細な分析を加えたのに対し、本書三では、古事記を「作品」として追究し、神話を論ずる。「作品」としての古事記を追究する中で、海幸山幸等の神話を持ち伝える集団の問題から、古事記がこれらの神話をどのように組み込んだかを論述し、併せて日本書紀の記述を詳細に分析する。
【目次】
1 古事記の作品的性格 一
2 古事記の作品的性格 二
3 古事記の作品的性格 三
4 古事記の作品的性格 四
5 古事記上巻の神話について
6 イザナキ・イザナミの世界
7 海幸山幸の神話と系譜
8 「応神天皇の誕生」について
9 箇男三神について
10 国巣と国巣奏
11 河内飛鳥の渡来人と挽歌史
12 古事記、古語拾遺の「之」
13 白気と天武紀の徴応記述について
14 日本書紀の記述 一
15 日本書紀の記述 二
16 日本書紀の記述 三
【著者紹介】(発行当時のものです)
吉井巖(よしい・いわお)
1922年大阪府生まれ。
京都大学文学部卒業。
帝塚山学院大学名誉教授。
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