天皇家・名家・羽林家、外記局・弁官局の局務・官務、さらに地下官人の六位外記史の史料群を総合的に考察し、室町戦国期の禁裏と室町殿の統合システムの解明を試みる。

【目次】
第Ⅰ部　室町廷臣公家官人論
　第一章　天皇の官僚制と室町殿・摂家の家司兼任体制
　　　　　　　　　　　　　　　　　-名家広橋・局務清原・内記菅原家を中心に-
　　　第一節　室町殿家司の摂家家司・上皇院司の兼任体制
　　　第二節　職事弁官機構と室町殿・摂家の家産官僚制
　　　第三節　局務・官務・内記の機能・役割と清原家・菅原家の公卿化
　第二章　室町期廷臣の近習・近臣と本所権力の二面性-甘露寺家を中心に-
　　　第一節　甘露寺親長の廷臣としての活動
　　　第二節　本所家政権力としての甘露寺家
　第三章　廷臣公家の職掌と禁裏小番制-甘露寺親長を事例に-
　　　第一節　天皇作法に関する次第書の書写活動
　　　第二節　職事弁官に関する次第書の書写活動
　　　第三節　禁裏文庫の書写活動と禁裏小番制
　　　第四節　禁裏小番制の制度改革と変遷
　第四章　甘露寺親長の儀式伝奏と『伝奏記』の作成
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-室町後期における公家官制史の一考察-
　　　第一節　親長の『還幸伝奏記』と還幸伝奏の職務
　　　第二節　甘露寺親長の儀式伝奏事例と別記としての伝奏記作成
第Ⅱ部　公家史料批判学
　第五章　『看聞日記』にみる『後鳥羽院日記』逸文と懸銭の流行
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -懸銭連歌と宋銭停止令をめぐって-
　　　第一節　禁裏史料編纂をめぐるイデオロギー問題
　　　第二節　鎌倉初期の宋銭流通と連歌会の懸銭
　　　第三節　天皇日記の閲覧・書写と相伝の諸問題
　第六章　公家史料にみる外記・官史の宣旨発給と吉良満義の信州発向
　　　第一節　『師守記』の史料批判と宣旨の再発給
　　　第二節　南北朝・室町期の外記宣旨と弁官宣旨
　　　第三節　追討使吉良満義の東国活動について
　第七章　『三長記』・『禁秘抄』書写本の史料批判について
　　　　　　　 -近世禁裏文庫と文明補充本の関係について-
　　　第一節　高松宮本・田中本『三長記』の書写活動の復原
　　　第二節　霊元天皇による高松宮本『禁秘抄』の書写活動
　第八章　中世禁裏の宸筆御八講をめぐる諸問題-『満済准后日記』の史料批判-
　　　第一節　宸筆御八講研究における論点と課題
　　　第二節　室町期宸筆御八講をめぐる『満済准后日記』の史料批判
　　　第三節　院政期の宸筆御八講と銀捧物
　結語
　　　一　室町朝廷論
　　　二　室町期天皇制の社会的歴史的役割をめぐる諸説の批判的検

【著者紹介】（発行当時のものです）
井原今朝男（いはら・けさお）
1949年長野県生まれ。
静岡大学人文学部卒業。
博士（史学）。
国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学教授。